20代から50代前半まで大阪でアパレル関係の仕事をサラリーマンとして働いていた中園さん。17年ほど前に脱サラしてたけ屋で修行をしたのち、天神近くの赤坂でうどん屋を開業された中園さん。今回はそんな中園さんにお話しを伺いました。

★あの時、修行先として何故たけ屋を選ばれたのですか?

中園さん:もともと実家が近くだったので、たけ屋さんの存在は昔から知ってました。そしてたけ屋さんのうどんが好きで、たまたま知人にたけ屋の大将と知り合いという方がいて、その方を介して紹介していただいたんです。

★修行は二か月間と、短期間でしたが、修行期間はどうでしたか?

中園さん:正直、とてもきつかったですよ。当時年齢的にも50過ぎてましたし、朝から晩まで修行の身としては、体にこたえてました。

★あの当時、中園さんの印象としては、とても謙虚な方だなという印象があります。

中園さん:それは、私の中でこれは絶対、、と心に決めてたことがありました。スタッフの方、いくら学生であろうがどんなに若い方であろうが、相手の方に「絶対に敬語を使う」ということです。修行の身という立場で、仕事の足を引っ張ってはいけないし、おにぎりの握り方から教わらなくてはなりませんでしたから、どんなに若いアルバイトの方に対しても、先輩という接し方をしていました。

★なるほど。たけ屋に対するイメージってどんなでした?

中園さん:たけ屋で働く「人」に関する面で強力なイメージですかね、特に当時のアルバイトさん。時代背景もあるかもしれませんが、当時、たけ屋には、アルバイト生は、現役のアルバイト生が自分たちの後輩を連れてくる、という風習がありましたよね。あれは珍しい傾向だと思いますよ、だってお店側から募集しなくていいじゃないですか。それだけ、大将がアルバイトの子たちの面倒を見ていたんだと思いますよ。たけ屋でのアルバイトって、ある種、❛部活❜みたいなイメージでしたもんね。

★たしかに当時そうでしたね(笑) そして修行期間を経て、いざ開店されてどうでした?

中園さん:開店当時はやはり不安はありました。うどんの作り手として、自分の納得するうどんを提供する、それに徹しましたね。ありがたいことに、開店当時、新しいお店のオープンをマスコミが取り上げてくれたんですよ。テレビにも何度も映らせていただきました。当時、讃岐うどんブームの真っただ中だったから、なおさら脚光を浴びたんです。

★それは良いタイミングでしたね。お客さんの反応はどうですか?

中園さん:一番褒められるのは、❛ダシ❜ですね。本当にスープは絶賛していただいてます。お年寄りのお客様が多く、常連のお客様も結構いらっしゃいます。あとは、若いお客様ももちろんですが、韓国からの観光客のお客様も多いんですよ。

★へー、韓国の方ですか。たしかに、福岡は韓国人の旅行者が多いですしね。

中園さん:ある一人の韓国人の人が、SNSでうちの口コミを載せてくれたみたいで、それ以降、一気に韓国人のお客さんが増えましたよ。多い時は、全体の2割が韓国人です。

★それはすごいですね。韓国の方は何を注文されるんですか?

中園さん:牛若丸うどんが人気なんですよ。日本に2回目に来られるときなんか、韓国からお土産まで持ってきていただいたりして。

★いいですね、なんか!ところで、中園さんの「こだわり」って何ですか?

中園さん:麺を仕込むときの、「熟成」です。しっかりと熟成することによって、良いうどんが出来ます。熟成時間をきっちりとることが、丁寧に作ると直結します。あとは、「米」。米にもこだわってます。❛24時間熟成精米❜のお米を使うことで、旨味と甘味が普通のお米よりも強く、本当においしいご飯が炊けます。

★なるほど、キーワードは「熟成」なんですね。

中園さん:あとは、私としては、うどんって大きく分けて、2つ、従来のシンプルなうどんと、若者層に人気のある創作うどんのようなもの、があると思うんです。こんな時代だからこそ、あえて昔のやり方に近い方法で、シンプルなうどんを作る、それが私のモットーです。ただ、冷たいぶっかけうどんも提供してるんですが、これは若者層のお客様に大人気なんです。当時はまだ周りにこのぶっかけスタイルのうどんを出すお店がほとんど無くて、珍しかったためか、若者中心に人気に火がつきました。

★素晴らしい。中園さんのこれからの目標って何ですか?

中園さん:まずは、80歳になるまで、あと約10年間、現役で働き続けることです。80歳まで働く前提で、去年この店を改装しましたしね。

★でも、中園さんは、本当に実年齢よりもだいぶ若く見えますよね(笑) 

中園さん:周りの同級生はほとんど定年退職をして自由な時間をもってるみたいですが、結構周りからはうらやましがられますよ。やはり、仕事をしていた方が覇気もあって幸せな気がします。

★そうですよね、働けること自体、幸せなことですね。

中園さん:これからも安定したうどん作りに励みますよ。気持ちよく作れた時ほど、自信をもって胸を張って出せますからね。それに向かって真面目に一生懸命頑張ります!

★これからも頑張って下さいね!
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40000485/

カウンター席の並ぶ店内

カウンター席の並ぶ店内

店主さんがカウンター越しにうどんを作ってくれます。

ぶっかけうどんメニュー

ぶっかけうどんメニュー

若者層に大人気でそうです。